太陽に近付くと気温が下がる。なぜ?しかし、標高1,500mの仙人温泉小屋は“熱い”

「人生観が、変りますぞ」

Chokomaka

ザック・ザック・ザック!フゥーーーッ! ここは、仙人谷ダムからの急登。 
 !!雲切り新道!!    
今、雲切り新道を登っている。  仙人谷ダムの脇をへツリ、仙人谷の橋を渡って、旧水平道、そして梯子を、チョンチョンチョンと登った処からいよいよ雲切新道が始まる。 
「亀の甲岩(注1)」「ゴッチン坂(注2)」、を通過してブナ林の中を黙々と登る。  熊が引掻いた爪跡を残したブナの樹も見受けられる。 
『今日は、やけに暑いなぁーーッ!』  『本当に暑い!しかし、随分高度を稼いだぜ!』  ほとばしる汗、汗、汗・・・・。  
『普通なら、もっと涼しいはずだがなぁーーー!』  『この分じゃあ!下界では、皆、茹だってるぜッ!』   背後から太陽がギラギラと、容赦なく照り付ける。
『暑い!暑い! しかし、暑いなぁーーーッ!』 
『もう、チョットで稜線に出るから、頑張ろうぜッ!』   
『ヨシッ! 頑張ろう!』 黙々と登りながら考えた。 
『ところで、何故、山は登る程に気温が低下するんだろう? 太陽に、一歩、々々近づいていると言うのになぁーーーーッ? 良く耳にする、「高度100m上がると、0.6℃気温が下がる」と言うが、何故だろう?』  『その訳はねッ! そもそも、気温の上昇は、太陽が空気を直接暖めるのでは無く、地面を暖め、地面から出る熱が地表の空気を暖めるから、気温が上がるんだよ!』  『フウウ〜〜〜ンッ! そうだったんだッ!』 
『山頂も暖まるには、暖まるが、平な処が狭く、大部分が谷で、地面から 離れているので熱が届かない、そのため山頂は、気温が低くなるのさ!』 
『なぁーーるほど!ガッテンッ!』  『それに加えて、高度が上がるに連れて、気圧が下がり、空気が膨張して、体積が大きくなるときに、温度が下がる性質があるので、高くなるほど、温度が下がる。と、言う訳さッ!』  
『山に登って、「太陽に近づく」と言っても、たかだか3,000m(3km)程度、地球と太陽の距離は、1億5,000万kmもあるんだぜ!「近づいた」なんて言う距離では無いんだよ! 地球だって、周囲40,000km、山の3kmなんて、人間の顔に出来た「ニキビ」より小さいぜッ!』 
『そう言われればそうだ! チョット登ったぐらいでは、「太陽に近づいた」なぁ〜〜んて、言えないんだね!だから、気温が下がるんだッ!』  

そんな、つまらん話をしているうちに  『オッ!五葉松だ! 稜線に出たぞッ!』  右の谷筋から吹き上げる一陣の風が疲れを癒してくれる。 
『フウウウゥーーーーッ!  いい風だッ!』  絶妙! 絶妙!!  『何時見ても、五竜岳・鹿島槍の雄姿はいいなぁ惚れ惚れするぜ!』 
稜線に出て暫く行くと、大きな岩があるが、角材で足場が作ってあるので、大丈夫、シッカリしている。 3〜4mトラバースして梯子を上る。 
『稜線とは言え、潅木に覆われているので、さほど高度感・恐怖感は無いが、対岸の斜面を見てごらん、あれ、あの斜面と同じところを歩いているのだから、気を引き締めて行こうぜ!』  
暫く登ると、またまた、アルミ製のガッチリした梯子がある、今度は三段連続 の梯子、危ないので「三点支持(注3)」で、シッカリ掴まりながら登る。 途中に「御神体」なる、自然の造形美がある。  『ウウウウーーーームッ!なかなかのものだ!!』  『何時までも感心していないで、先を急ごうぜ!』  三段梯子・御神体(注4)を過ぎると、あと少し! 『ヨシッ!頑張るぞ!!』  登りがなだらかになり、視界が開けてくると、アッ!あった・あった。 そう!雲切新道のピーク「1,629m」の標識だッ!それを左に見てチョット行くと、ドックレッグ、そして、径は窪地となる。  そこからは、ほんのチョットで、「小屋のぞき」に着く、二本のブナの大木の樹間から、「仙人温泉小屋」が俯瞰出来る。 
ヤッホーーーッ!! ヤッホーーーッ!! 
今迄の疲れが、一編にフッ飛ぶ! さあッ!いよいよラスト、気をつけて行こうぜ!! 小屋の対岸をトラーバースして行くと、「水場」に出る。 そこで一息入れるも良し!そのままブッ飛ばすもよし!
いよいよ最終章、 水場を過ぎると、左上部に源泉が、噴煙を上げている。 いよいよ、仙人谷への急坂を下って、沢に出る。 遥か上空には、温泉を引くパイプが渓を横切り、そのまた遠方には、後立山連峰、旭岳・白馬岳・・・・の雄姿が聳える。 
小屋に入ると、間髪を入れず、『いらっしゃい!イラッシャイ!いらしゃ〜いッ!』  仙人温泉小屋は!熱い! 標高1,500mにあると言うのに、「熱い!燃えている!」   なぜ?温泉の地熱のため?  ノー! NO! ノォーーーッ! それは、仙人こと、高橋オーナーの「ハート」が熱い、登山者の「情熱」が、燃えているからさ!!渋いッ! カックイイイーーーーッ!! 
夕食時ともなると、『GAHAHAHAッ! ウワッハハハッ! WAY WAY GAYA GAYA!』と、爆発する仙人温泉小屋!何時までも、いつまでも、果てしなく続くが、やがて終焉の時は来る。 オリオンが燦然と煌き、仙人谷も次第に夜が更けて行く・・・・・・・! 
あなたも、そんな熱い、燃える仙人温泉小屋に来てみませんか! 太陽との「1億5,000万Km」を「1.5Km」だけ縮じめてみませんか?  “人生観が、変りますぞ”    

【解説】
注1) 亀ノ甲岩、旧水平道から直登になり、暫く(1〜1.5h)登ると径の中央にある岩(亀に見えるか否かは、イマジネーションの豊かさの違い)

注2) ゴッチン坂、更に登って行くとブナ林の中、径はジグザクの葛篭折り(つづらおり)になる。ブナの根本が、雪に押されて「根曲がり」、径の上にかぶっている。足元を見ながら、喘ぎ・喘ぎ登って行くと、「ゴッチン」!眼から火花が、パチパチッ!と、言う訳!背丈によって異なるが「4〜5箇所」ある。!!頭上注意!! 

注3) 三点支持、高い処などを上り・降りする際の基本動作、両手(ワン・ツー) 両足(スリー・フォー)の四つのうち何れか1つを移動させる際、他の3点は、シッカリ確保しておくこと★エッ!「四点支持の方が安全」だろう!って??それはそうだが、何時までも四点支持では、動かないよッ!ガァッ ハハハハハッ!  アッ!そうかッ!!

注4) 御神体 (写真参照)、針葉樹が、何か?の原因で変形して出来た造形★登山者の安全を守るため、山の神が降臨して、樹に宿ったのかな?いづれにしても、『安全登山』に心掛けましょう!

Copyright(c) Sennin-Onsengoya Allright Reserved.

戻る