「みゃあらくもん考」

Chokomaka

【はじめに】
 「みゃあらくもん」、なんてやわらかな響き、なんて、味のある言葉なんだ!
小生が始めてこの言葉に出会ったのは、仙人温泉小屋のオーナー高橋さんに、2005年山と渓谷4月号 「小屋番日記三六五日」 に掲載されていた「みゃあらくもんの夢物語」を頂いた時であった。
 その内容は、「みゃあらくもん」とは富山地方の方言で「酔狂な人とか、物好きな人」のことを言うそうで、高橋さんが山小屋の主になるまでのいきさつ、今までの人生の歩みなどが綴られており、巻末には、将来は今の小屋を立替るか、誰か山好きな御仁に引き継ぎたいなどと、将来の夢などで結 ばれていた。
 まさに仙人の「みゃらくもん」ぶりを披露したエッセイであった。
それを読んだ時、小生の脳裏に「みゃあらくもん」という不思議な響きが残った。酔狂・物好き、結構・結構、いじゃないか!  おもしろい!

 【そして】
 この度、ひょんな切っ掛けから、ある本(注1)に出会ったことで、「みゃあらくもん」という言葉に再び出会うことが出来た。
「みゃあらくもん」は、富山地方の方言であり、富山県では、物づくりを重視し、勤勉・倹約を美徳する価値観が支配的であった。 「非生産的」な「みゃあらくもん」が、白眼視されてきたことは、無理からぬことかも知れない。
 まさに仙人曰く「みゃあらくもん」は、「酔狂な人とか、物好きな人」のことあり、一般的な常識人では無く、「世間の枠」に納まるような人間では無いのは確かである。
 では、常識人とはなんぞや?と言うことである。世の中には2・6・2の原理と言うものがあり、これは、人間の組織(集団)における考え方・行動のパターンの比率のことである。 ある事柄で、「この目標に向かって頑張ろう!」とした場合、最初の2のグループは、「よしッ 頑張ろう!」次の6は中間層「まあッやってみようか!」残りの2 は、反対派「そんなことはしなくとも・・・。!」どちらかと言うと足を引っ張るグループに分かれると言われている。
そこで、一般常識的人間とは、最初の「2と6」に分類される人種なのかもしれない。
 ここで、あえてみゃあらくもんの権威を保つために言っておくが、「かもしれない」とあいまいな表現したことには訳があり、それ程「みゃあらくもん」と 呼ばれる人には奥深い味わいがあるのである。
 単純に、後退的なグループを、ひとくくりにするには無理があり、やるときにはやる、誰よりも熱心に、夢中になるようなパワーを秘めているのである。そのパワーのベクトルがちょっと違う、と言った側面を持つ愛されるべき人種なのである。
 さて、地方によって方言は色々あり、いくつか例を挙げると「どんご」と言う言葉が小笠原で使われているが、ニュアンス的には「バカ、あほ、まぬけ」に近い、また処によっては「ほうたれ」「ろくでなし」「ごくつぶし」「おへんなし」など、ちょっとアウトロー的な人達を形容する言葉も見受けられるが、「みゃあらくもん」は、それらとは一寸と言うか、大いに違うのである。
 富山では、「みゃあらくもん」はこのような場面で使われている。
例えば、親が道楽息子を叱るとき『そんな、みゃあらくなことをして!』と言って諭す時などに使われるそうである。またリサーチ結果(注2)では、「みゃあらくもん」と聞いて連想する言葉は?との問いに「道楽者(19)」「遊び人(7)」「もの好き(7)」が69%を占めている。また同義語としては、「極楽トンボ」「趣味人」「遊び人」、対象的な人物 としては「堅物」「きまじめ」を連想するようである。
 これらから推察すると、「みゃあらくもん」の人間像が浮かびあがってくる。みゃあらくもんは、生産的ではないことにも好奇心旺盛で、言われたからやるではなく、自分なりの確たる人生観、自らの中に羅針盤を持ち、夢を追 い求める。
常に若い情熱と、行動力の持ち主であり、少数派ながら愛されるべき人達なのである。
 ちなみに、最近の若い人に「みゃあらくもん」の認知度について問いかけてみたが、「知らない」との回答が殆どであった。
地方色溢れる言葉が、次第に使われ無くなって行くことに一抹の寂しさを感じずには居られない。これからも「みゃあらくもん」と言う言葉が何時までも残ることと、実際に 「みゃあらくもん」が増えて世の中が楽しくなっていくことに期待するばかりである。
 最後に、仙人は、本当に「みゃあらくもん」だなぁーッ!と、つくずく感じる次第であり、また、仙人温泉小屋スタッフも負けず劣らず、「みゃあらく もん」集団なのである。
 アッ!そうそう!これをお読みになっている「山屋」の貴方、まさに貴女こそ、「みゃあらくもん」なのではありませんか? 
みゃあらくもんの皆さん 仙人温泉小屋に集まれぇーーーッ!!      
みゃあらくもん 万歳!! 完

(注1) 図書名:「みゃあらくもん」  出版者:勝山敏一  発 行:桂書房 (1989年4月1日発行)

  (注2) リサーチ: 無作為男女48人

Copyright(c)Sennin-OnsengoyaAllrightReserved.

戻る