(2012年、仙人のカメラから掲載しています。一部スタッフの撮影も含まれています。)
 
 

4月4日~6日、京都へ吉野のさくらを見に行く。

 三月一杯は年度末なので建設現場は猫の手も借りたいほど忙しい。三、四カ所の物件をかけもちすると心も身体もぼろぼろになる。ので、仕事が一段落すると片雲の雲に誘われて、旅行に行く。毎年吉野の桜を見に行く。そして西行の庵にお参りをする。去年は開花が遅れていたので京都醍醐寺の桜を愛でた。




5月26日、利根川源流へ、堀江社長と

 練馬区在住のさんちゃん。彼と仙人は十七年の付き合いだ。同い年なのでなぜか馬が合う。趣味も良く似ている。勝野アルパインガイド事務所の講習会で出会ったのが発端だ。
かれは岩魚釣りをこよなく愛している。女房と岩魚の二者択一を迫られたら彼は迷うことなくーー。囲碁も強い。けれど仙人より少し弱い。ロッククライミングはいい勝負。スキーと雪山は彼に脱帽。彼が釣り上げた最大の岩魚は四十九センチ、仙人は四十五センチ。なかなか彼には勝てない。女性との交遊歴もちょっと負けているか、な。
毎年五月末になると利根川の源流に行く。仙人も付き合うのが恒例になっている。




6月3日、小屋下見に入山




6月23日、仙人温泉小屋の小屋開き

仙人温泉小屋の小屋開けは夏至の日を基準日にしている。と言ってもスタッフの仕事の都合で二、三日は前後する。積雪の多い年は六月末でも小屋は雪に埋もれている。黒部の谷は想像以上の豪雪地帯である。だからこそ人跡まれで、人間の手垢の付いていない自然が残っているのかも知れない。六月末は梅雨の末期でもある。からりと晴れる日はまれで、谷は厚い雲に覆われていることが多い。だから小屋開けの頃に白馬岳が見えると嬉しくなるよ。




6月24日、谷の山菜

写真は美味しい山菜のウルイ。学名はオオバギボウシ。さっと茹でこぼして、おひたしで食する。削り節をかけても、マヨネーズであえても美味い。
仙人谷にはウルイの他にイヌドウナ、ウド、ゼンマイ、コシアブラ、根曲がりタケ、ユキザサ、ワラビ、ハリギリ、フキ、となんでもあるよ。秋にはキノコも採れるね。自然食が好きな人間にはたまらない場所だ。




7月14日、営業準備完了です。




7月16日、仙人温泉小屋は営業を開始しました。

 ゆうこさんは七年前に宿泊してくれました。露天風呂が忘れられなくてまた来てくれました。彼女は整体の先生なのです。調布市在住なので仙人は疲労がたまると彼女に身体の調整をお願いしています。身体が楽になったら、先生、今度は俺が先生の女性のツボを揉みほぐしてあげるよ、と持ちかけるのですが、「結構です、今のところ必要ありません」とつれないのです。




7月25日、池の平小屋まで出掛けて来ました。

 三の窓で遭難した登山者の捜索に向かう富山県警山岳救助隊の皆さんです。いつ見ても凛々しくて頼もしい勇姿です。「去年は事故が多くて大変でしたね。今年もよろしくお願いします。そう言えば仙人温泉小屋に宿泊した女性が隊員の一人にプロポーズしたけれど、あの話はどうなったんですかね。



同じ日、帰途に仙人池ヒュッテに立ち寄りました。

仙人池ヒュッテの若主人。テレビ出演で有名なお婆ちゃんの後を引き継いで頑張っています。裏剱の過酷な条件下での営業は一言では言い表せませんが、へこたれないで継続しましょう。末永くお付き合いをお願いします。




7月30日、おしんこどん来湯、熊の毛皮と山刀(やまがたな)で遊ぶ。

 仙人温泉小屋は月の輪熊が冬眠をする小屋なのです。で、小屋には護身用の山刀が常備されています。熊は森の王者です。人間が熊と喧嘩をしても絶対に勝てません。一昨年の秋に、登山道で熊に遭遇した人が、仙人温泉小屋に駆けこんだことがありました。幸い大事には至らなかったのですが、気をつけたいですね。熊は山に木の実や若草がある時には小屋に近づくことはありません。初雪が降って、小屋の水が凍りだすと周囲を徘徊するようになります。そして、小屋閉めをして我々が下山をすると無人になったことを確かめて小屋に押し入るのです。熊は残してある食料は何でも食べます。なかでも日本酒が大好きなのです。だから、仙人とは同類なんだ、と諦めています。小屋には熊の毛皮がありますが、仙人谷の熊ではありません。




8月2日、元気な若者が宿泊。

登山は腹の減るスポーツですよね。小屋の夕食は登山の楽しみの一つですね。ですから、小屋番は食事に神経を使います。あまりにも多く用意してごっそり残っては無駄になるばかりです。逆に、ご飯が足りませんとなると非常事態です。過不足なく料理を用意するのには、それなりの年季がいります。この日の男性は一人で二合。二人で四合の飯を食べました。小屋番としてはたくさん食べてくれるのが嬉しいのですが、ひやひやしているのも実情なのです。




8月3日、明日の天気はどうなんだろう。

唐松小屋に雲がかかっている。雪渓が大分少なくなっている。日が長くなっているので登山者は唐松岳にあふれていることだろう。夕暮れになると唐松の小屋の灯火が見える。天気がよければ白馬の小屋の灯火も見える。露天風呂に入ってビールを飲みながら小屋の灯火を眺めるのもいいものですよ。




8月4日、団体客来湯、めったに来ない団体様にスタッフは大忙し。

この日はシーズンに二度あるかないかの混雑ぶりでした。十八人しか座れない食堂ですから、二回転で食事をしてもらいました。まだスタッフが揃っていない頃は一人で切り盛りをしていたので、忙しい日は夜に眠る時間を確保できないことがありました。宿泊された人が笑顔で食事時を過ごしてくれると小屋番はとても嬉しいのです。

 群馬のまさゆきさん。名古屋のMさん。混雑している時は調理場の片隅で食事をしてもらいました。お蔭様で宿泊者から苦情をいただかなくて済みました。スタッフの皆が助けてくれるので仙人温泉小屋は成り立っています。




8月18日

 梅雨が明けて夏が本番になると白馬の上に入道雲が立ち昇る。この縦の雲が横に流れる頃になると秋になって下山の日が近くなる。入道雲よいつまでも、と祈らずにはいられない。そしてこの頃になると、若くして山に逝った従兄弟を思いだす。




9月25日、仙人岩屋裏にて白骨化した遺体発見!

9月25日午後、お客様を仙人岩屋に案内した後、岩屋裏の草刈りをしようとしたら草むらに白骨化した人骨を発見したものです。
人骨は、シュラフに腰付近まで入っています。腰付近に登山靴が二足ありました。ザックもありました。女性か男性かの区別はつきませんが歯は奥歯まできれいに揃っているところからそれほど年配ではない模様です。
明日(26日)、富山県警の鑑識が調べに訪れると言うことです。
今日スタッフメンバーが下山しましたが、その後だったため写真は後日と言うことで。
たぶん小屋が閉まってから、来て仙人岩屋の裏でビバークしたものとおもわれる。この仙人池から阿曽原間で3人ほど行方不明になっている人がいるが、そのうちの一人ではないかとおもう。
素人見では、亡くなってから7年~10年程度経っているものと思う。
仙人岩屋付近はよく通っていたが、匂いも何もなくて気がつかなかった。




9月26日、続報2.白骨化遺体は県警がヘリコプターで収容

昨日発見された仙人岩屋裏の白骨遺体は、本日富山県警のヘリコプターによって収容されました。
ヘッドランプに名前(Y・NODA)がありましたが行方不明の該当者はないということです。(後に富山県警の捜査により身元が判明したとのことです。)




10月7日、朝から女性の入湯者が多かった日。渇水で女湯が使えませんでした。


(9:38)

「立ち寄り湯だけでよろしいでしょうか」と問い合わせてきたおとなしそうな人。
「渇水で女湯が使えません、混浴の露天風呂しかありません」と言うと、
「困ったわ、水着もバスタオルもないし」と言うので女性用のエプロンを貸してあげたよ。
彼女、喜んで露天風呂にはいったよ。今年は泊まりでおいでよ。



(10:43)

 まあまあ若かった二人組みの女性。自分たちの水着を持参して入浴する気満々。
飲みっぷりも風呂の入り方も明るかったのでついビールをごちそうしてしまった。
馬鹿だね、仙人は。後悔はするんだがね。多分一生治らないね、この病気は。


(11:15)

 この人は夕食後に仙人がギターを弾いていたらそばに寄ってきてビールをついでくれたね。
連休でなければ君だけのためにギターを弾けるんだけれど、小屋の仕事が手一杯だったのでゆっくりできなかったね。


(13:56)

 ごめん。あなたの記憶が仙人にはないのでコメントのしようがない。でも、上品な笑顔が素敵だね。


(14:50)

 大阪のやすこちゃん。連休の混雑時に即席のスタッフになってもらって助かったよ。ありがとう。お礼に飲ました緑川は美味かっただろう。今年も奢るから風呂に入りに来てくれ。裕次郎みたいに、俺は待ってるぜ。




10月11日

三鷹に住んでいるゆきこちゃん。山を放浪したり四国のお遍路をしたりで楽しそうだけれど、本当は淋しいんだろう。早くいい男を見つけて幸せになれよ。仙人も心がけているよ。君の頬っぺたをひっぱたいてね、俺について来い、なんて言える男をね。今年は期待していてくれ。




10月13日、徐々に小屋閉めの準備です。解体前に橋の写真を撮っておきます。

 仙人温泉小屋の下に架かる木橋。シーズン中だけ架ける橋です。仙人温泉小屋のスタッフが作業をします。下山時には撤去して木材を雪崩の被害が及ばない場所まで運び上げます。この作業も一人、二人ではできません。登山道を整備するのは多くの人の労力を必要とするのです。




10月16日、紅葉は真っ盛りですが、明日小屋を閉めて下山します。

山小屋の営業をするにはまず、環境省の許可を受けなければならない。次に食品の提供を不特定多数の人にするので、保健所の許可を受ける。国の土地を借用するので、森林管理所を窓口として契約をする。消防署の指導もある。露天風呂のレジオネラ菌の検査をする。源泉のブタンガスの濃度検査もする。遭難者救助のために警察署との連絡も密にしなければならない。そしてプロパンガスの不完全燃焼による小屋番の死亡事故があったので、山小屋にもガスの保安業務員を置かなければならなくなった。なにごとも一人で決済するので、仙人も去年シーズン中に下山して資格をとった。二日間九時から五時まで机に縛りつけられるのは辛いね。眠気を我慢するのに骨をおった。六十を過ぎて机に座らされるのはごめんだぜ、なあ、解かるだろうご同輩。


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2013.1.1掲載

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